2014年4月23日水曜日

キロクの断片のきおく 002

昭和39年11月3日にオープンして20日くらい後、さぞテンション上がる記事が載っているんだろうとおもいきや...

昭和39年11月26日 朝日新聞
昭和39年11月25日 西日本新聞

いやいや、こっちが泣きそうやわ...なかんじの記事2つ。

いやまあ、ある意味おもしろく読みましたけど、当時の文化会館関係者はどんな気持ちでこの記事を読んでいたのでしょう。また新聞はどんな気持ちでこの記事を掲載したのでしょう。

「文化会館の自習室で勉強していた」という思い出を、ぼく自身知人から聞いたことがあります。その人はどんな思い出をもっているんでしょう。

そのうち聞きに行くとしよう。


福岡県文化会館/福岡県立美術館にまつわる思い出や記念写真を募集しています!


2014年4月18日金曜日

キロクの断片のきおく 001

「オモイデ」シリーズと並行して、福岡県文化会館/福岡県立美術館にまつわる新聞記事や当時の記録を時系列は気にせず散発的に紹介していこうと思いますが、やっぱり最初は昭和39年11月3日、文化会館オープンを知らせるこの記事と写真から。

昭和39年11月3日 朝日新聞

この写真、かなり貴重です。空撮しているんでしょうね、この角度からの写真ははじめて見ました。

正面玄関が今の県立美術館とはちがって市民会館と向かい合うようにあったこと(旗を立てるポールが4本立っています)、タワーの周囲が池になっていたこと、本館の天井にドット状の意匠が施されていたことなど、いろんなことがよく分かる写真ですが、なにより度肝を抜かれたのはタワーの天井。なんと格子柄に抜けているじゃありませんか!

タワー上部、南北の側面が格子柄に抜かれていてそこに雨が降り注ぎ、その雨を下に落とすために東西壁面に「ガーゴイル」という突起がつけられたこと、しかし現実的な問題からすぐに内側に壁が立てられて雨風が遮られ、ガーゴイルも用途のない意匠の遺物としてだけ残っていることは知っていたのですが、当初天井まで抜かれていたとは...。

実用上の問題はいろいろあったんでしょうけど、設計した佐藤武夫の心意気というかアヴァンギャルドな実験精神をビシバシ感じます。

さらに周囲を埋め尽くすバラック住居群。これは当時の引揚げ者たちの住居で、市民会館・文化会館の建設および須崎公園の整備に伴い立ち退きが進められました。

立ち退きされる方々のための建設中のアパート(公団)がその横に写っていますね。文化会館とほぼ同じ時期にできたことが分かりますし、奇しくも今公団は立て直し、こちらは耐震工事真っ最中。

いやあ、興奮したなあ。


福岡県文化会館/福岡県立美術館にまつわる思い出や記念写真を募集しています!





2014年4月4日金曜日

オモイデおしえて 001 ぶらぞうさん


「福岡県文化会館50年記念 とっとっと? きおく×キロク= 」(10月4日~11月24日)にあわせて、福岡県文化会館(現在の福岡県立美術館)とともにあるみなさんの思い出と記念写真を大募集。それらを展覧会開催に先んじて、このブログでご紹介していきます。

トップバッターは、ぶらぞうさんの思い出。つまり私ですけど...。


福岡県立美術館を最初に訪れたのは2000年の初夏。美術館巡りに来たわけでも、観光旅行のついでに寄ったわけでもなく、目的はただ一つ。学芸員採用試験を受けるための下見でした。

福岡に縁もゆかりもなく、生まれも育ちも関西ひとすじ30年、九州の地に足を踏み入れるのも中学校の修学旅行以来2回目。そんななかで「福岡の美術館がどうも学芸員を募集しているみたいだから、受験する気があるなら下見に行ってきなさい」という大学の恩師からのアドヴァイスにより、決して豊かではない懐から旅費をねん出し、訪れました。

福岡県立美術館が建つここ須崎公園にたどりついたときの印象は今も鮮やかに残っています。「マジ南国やん?!」 熱帯植物のような青々とした草木が生いしげる公園には、ヤシの木やバナナまで植わっていそうな雰囲気ムンムンで、なんだか笑ってしまったのを覚えています。

そしてその向こうにニョキッと頭を出す茶色い塔。福岡県立美術館の建物があたたかくぼくを迎え入れてくれました。

とはいえ、建物の中に入ってからの記憶はほとんどなく、展覧会を見たのか見なかったのかもよく覚えていません。

って、それじゃあ下見になっていないわけですが、採用試験を突破できたので、まあ結果オーライってことで。

2014年4月4日 ぶらぞう 43歳


こんなかんじで、福岡県文化会館/福岡県立美術館にまつわるみなさんの思い出をお教えくださればうれしいです。同時に記念写真も大募集。

興味ある方、協力くださる方は、まず福岡県立美術館ホームページをご覧ください。

http://fukuoka-kenbi.jp/blog/20140404_kenbi2550.html

「福岡県文化会館建設50年記念 とっとっと? きおく×キロク= 」展覧会概要 

福岡県立美術館では2014年10月4日から「とっとっと? きおく×キロク= 」という展覧会を開催します。

このブログは、展覧会にまつわる(ときには無関係な...)いろいろをみなさんとシェアするための場所です。管理者(投稿者)はわたくし「ぶらぞう」こと竹口。この展覧会を担当する学芸員です。どうぞよろしく。

投稿一発目は、展覧会の概要を。

昭和39年(1964)開館当初の福岡県文化会館。後ろは福岡市民会館

福岡県立美術館の前身にあたる福岡県文化会館が昭和39年(1964)に建設されて今年で50年。昭和60年(1985)の改築や現在進行中の耐震工事を経て建物は今も現役です。この展覧会はこれまでの50年の歴史を振り返るための展覧会です。

そして福岡県文化会館/福岡県立美術館の歴史を振り返りながら、同時に「記憶」と「記録」をキーワードにしてさまざまな作品を紹介します。髙島野十郎や江上茂雄、山本作兵衛といった当館なじみの所蔵作家はもとより、地元作家6人(泉山朗土、今岡昌子、酒井咲帆、寺江圭一朗、菱川辰也、森田加奈子)による作品もかけ合わせて展示。美術が元来持っている記録媒体や記憶装置としての働き、それゆえの今日的な広がりや深まりを見つめます。


一風変わった展覧会タイトルとなっている「とっとっと?」は、言わずと知れた九州の方言。福岡(博多)や長崎、熊本で「とっとっと?」と聞かれて「とっとっと!」と答えれば「取って(撮って)るよ」という意味になります。記憶と記録に着目するこの展覧会では、「記録を取る」「写真を撮る」「記憶を大切にしまっておく」といったことをかけ合わせ、あるいは「とつとつと歩いていく」そんなイメージも重ね合わせています。

作家だけではなく展覧会に参加くださるみなさんといっしょに、過去を振り返りながら未来をつくる、あるいは未来の方を向きながら過去をつくりなおす、そんな場が生まれればと願っています。


福岡県文化会館建設50年記念 とっとっと? きおく×キロク=

10月4日(土)~11月24日(月祝)
福岡県立美術館 4階展示室ほか
一般300円(200) 高大生140円(100) 小中生60円(50)
*( )内は20名以上の団体料金
*以下の方々は無料=身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方およびその介助者/毎週土曜日の高校生以下/教員引率による児童・生徒およびその教員



*以上の内容は福岡県立美術館のホームページでもご覧いただけます。
http://fukuoka-kenbi.jp/blog/20140324_kenbi2429.html
http://fukuoka-kenbi.jp/exhibition/2014/kenbi2497.html
http://fukuoka-kenbi.jp/